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住宅

1. ローンとは?

そもそもローンとはどういったものでしょうか?ローンとは元本の一部と利息を合わせて、毎月一定額を返済するタイプの借金と言えます。住宅ローンやオートローンはほとんどこのタイプになります。対照的に、借りたお金に対する利息だけを定期的に支払い、一定期間が過ぎたら借りた額を全額まとめて返すタイプの借金もあります*1。また、アメリカのクレジットカードのように、毎月、最低返済額だけ決まっていて、それ以上ならいくらでも構わない、変動タイプの借金もあります。このようにローンはいくつもある借金のタイプの1つなのですが、どういった特徴があるか、まとめてみましょう。これらの特徴を理解する事は、賢く住宅ローンを使う上で重要になってきます。

返済額の計算

ローンの返済額は、1.借入金、2.金利、3.返済期間、4.返済間隔の4つの要素で決まります。金利は年利で表されますが、実際には残高に金利を掛けたものの12分の1が毎月の利息になります。つまり、分かりやすいように年利で表示されていても、計算上は12分の1にして月利を使う、という訳です。返済期間は、アメリカの住宅ローンは15年、もしくは30年が標準的ですが、これ以外の返済期間も自由に選べます。返済間隔は、ほとんどの場合、毎月になります。2週間ごとに返済する方法もありますが*2、わざわざ変則的な返済間隔を選ぶ理由はありません。

さて、実際に4つの要素から毎月の返済額を計算するのは、普通の電卓では非常に面倒な計算になります。住宅ローンの計算をしてくれるWebサイト(例えばMortgage Calculatorを使う、Excelなどの表計算ソフトを使う(サンプルはこちら)、あるいは財務電卓などで計算する必要があります。いずれの場合も、利息支払い分と元本返済分の合計が、毎月一定になります。

住宅ローンの特徴

毎月の支払額が一定という特徴のために、住宅ローンの返済は、最初はほとんど利息だけを支払っている状態になります。

グラフ:返済額に占める利息と元本

右のグラフで分かる通り*3、毎月の返済額(赤の線)は常に一定です。最初の数年は返済額のほとんどが利息分(オレンジの線)です。逆に元本の返済は最初のうちは毎月わずかで、ローン期間30年のうち、20年経つとやっと、その月の返済は半分がローン元本の返済、半分が利息、という状態になります。

また、返済期間が長期間にわたるため、ローンを30年間払いつづけた場合、支払利息の合計が返済額の大きな割合を占め、元本よりも多くなっている事も住宅ローンの特徴です(下図)。

元本と合計支払利息

この特徴をよく理解することで、自分の購入パターンに合った住宅ローンが組めるようになります。返済期間の最初のうちは利息がほとんど、ということは、もしその期間の間にその家を売りに出した場合、借り入れた元本のほとんどがまだ「借金」として残っていて一括返済しなければいけない、ということです。返済期間よりもかなり早く(目安は10年以内)、その家を売りに出すことが確実な場合、何らかの方法で(詳しくは後述)、最初の10年間の利率を低く抑えることができれば有利になるわけです。

2. 住宅ローンの基本

借入れ額

借入れ額(Loan Amount, Mortgage Amount)は、自分が実際にローン会社から借りる金額です。通常は借入れ額が購入価格(Purchase Price)の80%以下でなければなりません。80%以下しか借りない普通のローン(逆にいえば頭金を20%以上払うローン)をConventional Loan といいます。もし、借入れ額が80%を超える場合はPMI(Private Mortgage Loan、後述)を払う、あるいは別のところから借りてくるなどの手段が必要になります。こういった Conventional でないローンは余計な負担が掛かるので、特別な(正当な)理由が無い限りは20%の頭金を用意して、借入れ額は必ず80%以内に収めましょう。

返済期間

返済期間(Term)は、30年間が最も一般的です。また、15年の返済期間も一般的です。新聞やWebサイトに載っている住宅ローンの利率は大抵この2つの期間で表示されていると思います。一般には30年返済よりも15年返済のほうが利率が低くなっています。また、これ以外の年数でも住宅ローンは組めます。例えば20年や25年といった期間でもいいわけです。ただし、利率は30年返済を20年返済にしても変わらない場合があります。返済期間が短くなるので、利息の支払い総額は減りますが、「利率」という点では年数を少し減らしても有利にはなりません。

利率

ローンの利率(Interest Rate)は年率で表されます。年率は、例えば銀行の預金利率や投資の利益の計算にも使われているので、イメージを掴むのには便利です。ただし、実際の計算は月率が使われます。これは毎月、返済するのだから当然と言うことになります。$100,000の元本で年率が6%のローンの場合、12で割って0.5%が月率なので、$100,000 x 0.5% = $500 が最初の月に払う利息になります(返済額は元本分もあるのでもっと高い)。

利率が低いほど、毎月の返済額が減りますので、低ければ低いほど良いと言えます。しかし、これはその他の条件がまったく一緒の場合に限ります。同じ銀行が提供するローンならその他の条件を同じにして比較することも簡単ですが、違う銀行やローン会社の金利を比較する場合、手数料や返済条件が違えば、単純な比較はできません。利率を比べる時はできるだけ同じ条件で比べましょう。実際、いくつものローンを探せば、似たような条件なのに利率が0.5%も違うことがあります。住宅ローンを申請する前に、必ず同じか似たような条件で利率の低いローンを探すことが重要です。

固定金利/変動金利

アメリカの住宅ローンは、大きく分けて固定金利(Fixed Rate Mortgage)と変動金利(Adjustable Rate Mortgage = ARM*4)の2つのタイプに分かれます。固定金利はローンの返済期間中*5ずっと、金利が変わりません。固定金利のほうが一般的で、借りる側に金利上昇のリスクがないことから、分かりやすいと言えます。変動金利のローンは市場金利の上下に合わせて借り入れ利率が変動するローンです。貸す側が都合がいいようにいくらでも利率を変えて良いわけではなく、最大利率、最小利率などが決まっています。また、利率は貸す側が勝手に決めるわけではなく、基準となる指標(例えばアメリカ国債の利率など)にプラス何%という形で決まります。通常は、ARMの方が固定金利よりも最初の利率は低くなっています。利率は一定期間ごと(大抵、半年か1年)に見直され、変更(Adjusted)されます。

ポイント

ローンを組むと、さまざまな手数料のほかに「ポイント(points)」と呼ばれる、融資手数料を取られます。借り入れ額に対する割合(%)で表示され、1 point と言えば借入額の1%が融資手数料、という意味です。一般には1〜3points 程度で、ポイントが高いほど、金利が低くなります。No point と言われる、融資手数料が掛からないローンもありますが、その分金利が高くなっているので、長期間、そのローンを維持するのなら*6不利になります。

ポイントは利息の先払いと考えることができます。実際、利息として扱われ、例えば確定申告のときにポイントで払った分は利息払い分として控除の対象になります。ローン会社側としてはローンを発行する際に(さまざまな手数料を取っているにもかかわらず)事務処理などの費用が掛かります。利用者がすぐに他のローンに乗り換えてしまっては、その費用が無駄になってしまったり、入ってくる予定だった利息が無くなりますから、会社の利益も減ってしまうわけです。そこで、ある程度、利息分を最初にまとめて払ってもらおう、というのがポイントの考え方です。

ポイントは利息の先払いなので、ポイントを先にたくさん払うのなら、返済期間中に払う利息は少なくしてもらわないと割に合いません。そこで、ポイントが高いと金利が低くなる(=利息が少なくなる)ようにして、バランスを取っているのです。例えば$100,000を30年固定金利で借りる場合を考えましょう。銀行は 3 points = $3,000 なら金利 7%、2 points = $2,000 なら7.125%、1 point = $1,000 なら7.250%などと、ポイントごとに別々の金利を提示します*7

クロージング・コスト

ローンを組む時に必要な費用をまとめて Closing Cost または Closing Fees と言います。Closing Costには Pointsの他にUnderwriting Fee (ローン引き受け料)、Application Fee (申請料)、Processing Fee(処理手数料)、Tax Service Fee(税金手続き料)、Attorney Fee(弁護士費用)、Title Insurance(所有権保険料)などなど、銀行側がローンを組むために必要な全ての手数料が含まれます。上記の手数料は銀行自体が請求するものと、弁護士費用や保険料などのように銀行が委託した先に払う手数料(Third Party Fees)の両方が含まれます。Pointを除く手数料は、合計すると数千ドルになるのが普通です。Closing Cost は Closing Day(売買日)に頭金などと一緒に払う必要があります。Closing Costは買い手が払うのが一般的ですが、物件によっては売り手が負担する場合もあります。

こういった手数料は、ローン金額全体に比べれば数%程度ですし、細かいものがいくつもあるので、面倒になって注意を怠りがちです。しかし、どの銀行やローン会社でも請求する内容は似たようなものなので、いくつかの銀行から見積もりをもらえば、どの項目に差が出るか、すぐに分かるでしょう。手数料が安いほうがいいとは必ずしもいえませんが、同じ条件で手数料が安ければ、それに越したことはありません。ですから、ローンを比較する時は手数料も含めて比較する必要があるでしょう*8

3. ローン申請

申請に必要な書類

Conventional Loan を申し込むには、自分の収入、財産、返済能力を証明するためにさまざまな書類を提出する必要があります。以下はその例です。

  • 過去2年間のTax Return(自営業の場合)
  • 過去2か月分のW-2(会社員の場合)
  • 過去数か月分の銀行の明細
  • 過去12か月分の公共料金の支払い証明 *9
  • その他の収入があれば、それを証明する書類
公共料金の支払いなどは、Cancelled Check のコピーを送ることで証明できます*10。恐らく、金額として返済できるかどうか、というだけでなく、習慣として、毎月きちんと期限前に支払いをしているか、と言うのも見てるのではないでしょうか。

さまざまな過去の書類が必要になりますから、普段から明細書などは整理して保存しておく必要があります*11。もし、足りない書類があれば、事前にコピーを用意しておきましょう。例えばTax Returnの書類はIRSに申し込めばコピーを送ってもらえます(有料)。

ローン会社によってはこれらの書類審査なしで、自己申告だけでローン審査をしてくれることもあります。こういったローンは書類を出すと不利になる人(例えば自営業で去年の収入が通常よりも低かったなど)にはローンを借りる助け舟となります。その代わり、金利は高くなりますので注意しましょう。過去数年間、まっとうに働いて収入を得ている人が書類を出せない、ということはないはずです。

Front Ratio と Back Ratio

住宅ローン(Mortgage)を借りるとき、いくらまで借りられるかというのは、買える家(の価格)を知る上で重要です。通常、Lender(銀行やローン会社)は、借り手の収入に応じてFront RatioとBack Ratioを重要な判断基準にします。

Front Ratioとは、購入する家に掛かる毎月の経費=PITI(Principal, Interest, Tax, and Insurance)を毎月の税引き前収入で割ったものです。例えばPITIが$1300で、毎月の収入が$5000ならFront Ratioは26%になります。多くのLenderは借り入れ限度額をFront Ratioが28%以下になるように決めています。最近ではFront Ratioが33%くらいまで認めるLenderも増えてきたともいいます。

Back Ratioは家に掛かる経費以外の借金返済もPITIに足し、それを収入で割ったものです。上記のPITI以外に自動車ローンの支払いが毎月$200あるとしたら、Back Ratioは $1500/$5000 = 30% になります。Back Ratioは最大でも36%を超えないように借入限度が決められます。

ここで借入限度というのは、Lenderが貸してもいいという限度額で、借りた人に最適な借入額ではありません。毎月のローン金額も大切ですが、他にどういった出費があるか、将来の蓄えがあるか、家を買ったらそれに合わせて出費が多くなる、なども考えなければ行けません。人によっては医療費、養育費、教育費など絶対欠かせないものもあるでしょうし、娯楽費などは我慢して削ることができるかもしれません。

借入限度額は本当に家が必要で、他のすべての出費をできるだけ我慢した場合に許容できる限度と思うとちょうど良いと思います。ぎりぎりまで切り詰めたくなければ、Front Ratioが低くて済む=借入額が少なくて済む方法を考える必要があります(頭金を多く払う、価格のより低い家にする、収入を増やすなど)。

*1 : 国や会社が発行する債券はこのタイプになります。
*2 : アメリカでは給与の支払いが2週間ごとの会社が多いからと思われます。
*3 : このグラフは借入額$100,000、金利7%、返済期間30年の場合です。
*4 : 腕と同じく「アーム」と発音する
*5 : 返済期間を Life of the loan と表現することがあります。
*6 : 家を売る以外にも、Refinance(借り換え)でローンを換えることもあります
*7 : 住宅ローンの利率は1/8%毎になっていることが多い。
*8 : この際も「同じ条件」で比較することが大切です。違う条件のローンは手数料も違う場合があります。
*9 : 公共料金には電気・ガス・水道などの他に、家賃、ケーブルTV、インターネットなども含まれます。
*10 : 自動引き落としやオンライン・ペイメントなどにしていると、Cancelled Checkがないので、面倒なことになる場合もある。
*11 : 住宅購入以外にも確定申告などのためにこういった書類は普段から整理して保存しておくことをお勧めします。
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