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住宅

1. 家の探し方いろいろ

家の探し方は、不動産屋(Realtor, Real Estate Agent)を尋ねるだけではありません。さまざまな方法があり、それぞれ特徴があります。実際に探し始める前に、それぞれの方法の特徴を知っておくと、選択の幅が広がります。

不動産屋

不動産屋を使う方法は2つあります。1つは家探しを任せてしまう方法です。「Newton地区で3Bed rooms、予算は$xxxくらい」などと条件を言って、それに合う物件を探してもらう方法です。この方法は住みたい場所が決まっていて、不動産屋が物件を見つけてくるまでゆっくり待っていられる人には有効でしょう。自分で探し回る必要もなく、楽をしたい人向けです。

もうひとつの方法は、目当ての物件が見つかって、連絡先になっている不動産屋に連絡する、というものです。この場合、既に買いたい物件を見つけて連絡してる訳ですから、不動産屋の役割は売買の流れをスムースにする、という役割でしかありません。目当ての物件が既に売れてたり、条件に合わなかった場合、その不動産屋は「同じような物件でこれならどうか」などと勧めてくる場合があります*1。もし、家探しは他の方法で自分でやる、と決めていたら、紹介された物件は参考程度にとどめ、自分で決めた家探しの方法を貫きましょう。もしその物件が気に入ったら、また連絡すれば良いだけです。

MLS

Multiple Listing Service (MLS)とは、不動産屋が使う物件情報データベースです。アメリカでは不動産屋を通して売買される物件のほとんどがこのデータベースに登録されています。また、ほとんど全ての不動産屋がMLSを使っています。つまり、どこの不動産屋に行っても同じ情報が得られる、ということになります。このMLSに載っていれば、他の不動産屋が売りに出している物件でも買うことができます。

以前は不動産屋が持っている専用端末でしか見れなかったようですが、今ではインターネットで同じデータベースから情報が得られます。この為、不動産屋で「家を探してください」と頼んだときと同じ物件を自分で探す事もできます*2

インターネット

上記の通り、物件を紹介しているWebサイト(例えばRealtor.com)はMLSから情報を取ってきていますから、不動産屋とほとんど同じ情報が得られます*3。地域や価格帯、ベッドルームの数などの条件を入力して簡単に「どんな物件が今、市場にあるか」を調べる事ができます。家探しを始める準備段階では、購入を考えいている地域の大体の価格帯を調べるために使うと良いでしょう。また、月に数回、同じ物件がまだリストされているか調べて、その地域での売れ行きを掴む事もできます。大体、何日くらいで家が売れていくか、というのは交渉の時に重要な情報になってきます。

新聞広告

アメリカでは日曜版に不動産を含むClassified Adが出ます。ここに載っている物件は実はほとんどが不動産屋が出しているものです。そのため、載っている物件はほとんどが上記MLSで検索可能なものです。つまり、わざわざ新聞広告の小さい字を舐めるようにみて物件を探す必要はない、ということです。ただし、MLSに載らない物件、例えば持ち主が不動産エージェントを通さずに売る場合(For Sale By Owner = FSBO)、こういった新聞広告に出ることもありますから、そういった物件を狙う場合には新聞広告もいいかもしれません。ただ、最近の不動産投資ブームでこういった、不動産屋を通さない売買は多くの人が「狙って」いますから、日曜の朝一番で電話する、といった努力が必要になります。

For Sale By Owner

自分で不動産屋を仲介せずに家を売ろうという人もいます。家の前に「For Sale By Owner」と看板を出していたり、新聞広告などで「FSBO」と書いてあったりします。自分で売る理由は主に不動産屋の手数料を払わないで済むようにするためです。不動産屋は売値の6%*4を売り手からもらう事で収入を得ています。これを節約しようというのです。手順は不動産屋を通してもほとんど同じですが、自分で全部手配しなければいけません(そもそも、何を手配するのか知らないといけない)。何をしなければいけないか知っていれば、不動産屋を通さなくても、買い手さえいれば弁護士やエスクローを雇って売買を成立させる事はできます。

問題は、そういった手続きを全て自分で委託しなければならないので、面倒ですし、どうやってやったらいいのか、分からない事も多いでしょう。FSBOは、面倒でも安く買うためにやってみようという人、不動産の取引の仕組みを勉強していこうとしてる人、投資として考えて「何らかの方法で」物件を安く手に入れようとしてる人には良いと思います。

2. 家を見るときの注意点

買いたい家の候補がいくつか見つかったら、実際に家を見に行きましょう。家を見ると、それに惚れ込んでしまって高い値段で買うことになったり、エージェントの押されて、他の物件をよく見ないうちに買うことになってしまったり、ということもあるかもしれません。事前に準備しておくことで、冷静に判断して、最適な家を買うことが目的です。

複数の候補を見つける

家の候補は1つではなく、いくつか見つけておきましょう。最初に見つけた1つの候補だけを見てしまうと、それ以降、最初に見た家が自分たちの基準になってしまい、常にその家と比べるようになってしまいます。もちろん、それでも冷静に判断できればかまわないのですが、最初に見る家は自分たちが買えないような高い家だったり、必要もない暖炉がついてたり*5すると、自分たちの本来の基準を曲げてしまうことになりかねません。最初に家を見るときに、一度に数件の家を見ることで、こういった先入観を少しは防ぐことができます。

チェック項目をまとめておく

家を見に行く前に何をチェックするか、項目リストを作っておくと便利でしょう。家を買う目的によって、自分なりのリストを作ります。例えば、しばらく住んだ後さらに別の家を買って今までの家を人に貸そうと思ってる場合、自分の趣味で選ぶよりも、賃貸住宅としての「貸しやすさ」をチェックする事になります。子供がいる場合は部屋数などだけでなく、危険な個所が無いか、Lead Paintではないか、など別の視点が必要でしょう。

項目リストは〇×の物もあれば、数値で示すもの(例えば5段階評価など)もあるでしょう。リスト項目ではないが実際に見て気がついた点なども一緒にまとめておけば、後でどの家にするか判断するときに役に立つと思います。アメリカの住宅市場の特徴は、日本と比べて圧倒的に中古が多く、家は自分で直したり改築したりしながら住んでいく事が前提です。ですから、例えばチェック項目として、「ガレージのドアがリモコンで開くこと」というのがあった場合、リモコンで開かないガレージだった場合でも、×を付けてしまうのではなく、「リモコンの設置に$xxx必要」などと考えるといいでしょう。自分で必要なところにお金をかければいいのであれば、それを割り引いてその家の価値を考えればいいのです。こういったリストを作れば、自分なりの判断基準ができ、間違いない家選びの助けになります。

項目はそれぞれが決めればいいのですが、私個人のアドバイスとしては、1.見た目にこだわらない(見た目のきれいさに惑わされない)、2.家だけでなく隣近所も含めてチェックする、3.項目ごとに優先順位をつける、というのをお勧めします。見た目の良さは特に日本人はこだわりますが、自分が売るときの値段には見た目のきれいさはあまり反映されません(逆に汚い、壊れているのはマイナスになりますが)。また、近所の家が5ベッドルームなのに、そこに1つだけある2ベッドルームの家は、売るときに苦労するかもしれません。

不動産屋のペースにはまらない

通常は家を見るのは不動産屋を通して、ということになります。直接所有者に連絡するのはFSBOなどの場合に限られるでしょう。他の業界、例えば自動車のセールスなどと比べれば、強引さはそれほどないものの、不動産屋もボランティアで仕事をしているわけではありません。不動産屋としては商売ですから、できるだけ物件を売ろうとします。強引な売り方は流行らず、よくあるパターンは、すごく丁寧に対応してくれて、こちらが買わないといけない様な気にさせるタイプです。ぶっきらぼうのエージェントと付き合うよりは良いですが、こちらも大きな買い物なので、同情する必要はありません。ビジネスと割り切って、クールに行きましょう。

親切に思えることでも、それがエージェントとして早く売買を成立させるために好都合だからやっている事も多くあります。ローンエージェントや銀行、インスペクター、弁護士を紹介してくれる、などはこちらにとっても便利ですが、自分にとって適切な人を紹介してくれてるわけではありません。そのエージェントが今まで一緒に仕事をしていて楽に仕事ができるので、紹介してるだけ、というのが実情でしょう。家探し前に知っておくべきことで書いたとおり、ローンやインスペクターは事前に調べて当たりを付けておきます。

また、オファーを早く出すように催促されたり、「早くしないと売れてしまう」といったセールストークを浴びせられることもあります。もっといろいろ見てみたければ、そのように言えば良いし、良い物件が見つかったと思ったら、こちらが納得いく金額でオファーを出せばいいのです。いずれの場合でも、物件を見てすぐその場でオファーを出す必要はないですから、家に帰ってじっくり条件を見ながらオファーを出すようにすれば良いでしょう。

*1 : というより、それが商売だから必ず勧めてくるでしょう
*2 : ただし、もしその不動産屋が何らかの理由でMLSに登録されてない物件を持っていたら別ですが。
*3 : 物件の番地や売り手の連絡先まではインターネットでは見れないようです。売り手が依頼している不動産屋の連絡先が載っているので、そこに連絡する必要があります。
*4 : 決まっている訳ではないのですが、6%が標準的です。状況により、これよりも少なくできることもあるかもしれません。
*5 : もちろん、暖炉が欲しい人はあっても構わないのです。
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