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保険

1. 生命保険の基本

生命保険の必要性

生命保険(Life Insurance)は被保険者(Insured)が死亡したときに、扶養家族が経済的に困らないようにするために掛けるものです。経済的に自分の収入に頼っている人がいる場合は生命保険を掛ける必要があるでしょう。特に子供がいる場合や、配偶者が働いていない場合は必須と言えます。被保険者が死亡した場合でも、扶養家族に十分な保険金が支払われれば、経済的に困らずに暮らしていくことができます。逆に独身で誰も養っていない人、子供のいない共働きのカップルで一方が死亡しても経済的には困らない人、十分な資金を蓄えている人などは生命保険が不要となります。

働いていて子供がいれば生命保険が必要というのはすぐに分かりますが、そうでない場合でも生命保険が必要な場合があります。例えば夫が働いていて、妻が専業主婦の場合、妻には労働収入がありません。直接的な収入がないので生命保険を掛ける必要がないと思ってしまう人もいます。しかし、小さい子供がいるような場合、妻が死亡してしまうと、残された夫は育児と仕事の両方をしなければなりません。このような場合、子供を預ける保育所の料金など、夫が働き続けるために必要な費用が発生します。生命保険の必要性を判断するときは、金銭的な収入だけではなく、もし自分や配偶者が死亡した場合、残された家族がどのように生活を維持するかを考えて決めなければなりません。

保険金額

いくらの保険に入るか、金額を決めるのは単純ではありません。よくある簡単な方法は年収の5倍、あるいは10倍という年収を元に決める方法です。しかし、年収と、その人が死亡したときに残された家族が必要とする資金は、関連性がありません。貯金が多く、雇用主が加入している生命保険がある場合は、自分で生命保険を買う必要がない人もいます。同じ年収の人でもそういったものが一切なければ、自分で保険に入る必要があるでしょう。

保険金額を決めるためには、残された家族が必要な資金を計算するほうが、より正確に計算できます。一般には次のような資金を計算に組み入れます。

  • 葬式費用
  • 長期住宅費用
  • 遺族の2〜3年分の生活費
  • 子供の教育資金
  • 配偶者の長期生活費
  • 借金

これらの費用は誰でもすべて必要とは限りません。貯蓄がある程度あれば、葬式費用や数年分の生活費はまかなえる場合も多いでしょう。配偶者が働いている場合は、短期的な経済負担分だけ計算に入れれば十分で、長期的には残された配偶者が働く事で生活費をまかなう場合もあります。

それぞれの費用を計算する場合、その資金が必要な時期と、費用の性質で見積もりが変わります。多くの場合、保険金をもらってから実際に必要になるまでは安全な貯金で運用し、インフレで物価が上がっても釣り合うようににします。しかし、それでは正しい資金が見積もれない場合もあります。例えば、アメリカでは大学の授業料はインフレを超える利率で値上がりしています。教育費はインフレ率よりも高く値上がりしていくと見積もった方が無難でしょう。

自分でこういった計算をするのは面倒な作業ですし、さまざまな情報が必要となります。保険エージェントに計算をしてもらうか、ウェブの計算ツールを使って概算を出すことが出来ます*1

2. 定期保険

一番分かりやすく、また費用もかからないタイプの生命保険は定期保険(Term Life Insurance)です。この保険は掛け捨てで、決められた期間の間に加入者が死亡すれば保険金が支払われます。一定期間が過ぎると、そのまま契約を終了するか、新しい条件で更新するかの選択肢があります。定期保険は、生命保険の本来の目的である、加入者が死亡してしまった場合のリスクをカバーするための一番効率の良い保険です。

注意しなければいけないのは、「掛け捨て」という言葉に迷わされないことです。掛け捨てというと、お金を払っただけで損をしてしまうような気がします。しかし、そもそも保険は不慮の災害や事故があった場合だけ保険金が支払われるものです。そういった災害に遭いたい人はいません。払い込んだ保険料が無駄になるほうが良いのです。無駄になる部分が一番少ない費用で済むのが定期保険です。

後述する終身保険は掛け捨てではありません。しかし、何らかの形で保険会社は払う分よりも多くの保険料を集めているのですから、それぞれの商品をしっかり理解して、正しい保険を選ぶ必要があります。

定期保険の種類

定期保険で一番短い期間は1年間です。しかし、1年後には契約をやめるか、更新しなければいけません。契約が終了する間際に重病にかかり余命がほとんど無いと診断されてしまうと、更新ができなくなってしまいますから、これでは生命保険の意味がありません。そこで、1年間の契約でも、無条件で更新できるタイプの保険がAnnual Renewable Term (ART)です。10年から30年の間、健康状態に関わらず、保険料を払う限り、更新することができます。

ARTは確実に更新できますが、保険料は毎年、値上がりしていきます。若いうちは死亡する確率が低いので、保険料が安く、歳を取るにつれ保険料は急速に値上がりしていきます。ARTは生命保険が必要な期間が数年程度の特殊な場合では有用ですが、小さな子供がいる家庭で、子供が大学を卒業するまでの20年ほどをカバーしたい、という場合には適しません。

長期間の保険が必要な場合、保険期間中は保険料が変わらない定額型の定期保険(Level Term Life Insurance)もあります。10年から30年ほどの保険期間中の保険料を平均して払うことで、一定額に保険料を保つ仕組みです。その為、ARTと比べると、若いうちは保険料が割高で、期間の最後のほうは割安になります。保険を途中で解約してしまうと割高な保険料を払い込んだことになるので、自分のニーズに合った保険期間を選択することが大切です。

一般的な生命保険のニーズはほとんどの場合、このLevel Term Life Insuranceで満たすことが出来ます。これ以外の生命保険を検討する場合は、それなりの理由がある場合に限られます。

3. 終身保険

終身保険(Permanent Life)は、定められた期間ではなく、死亡するまで保有することができる保険です。死亡するまでということは、いつかは必ず保険金を手にすることになります。保険会社から見れば、必ず払わなければならない保険金をまかなうために、高い保険料を設定することになります。歳を取ってリタイアするころには自分の労働収入に頼る子供も巣立った後で、自分や配偶者のためにはリタイアメント資金や社会保障、年金を使うようになります。そのため、特別な理由がない限り一生涯、生命保険を掛ける必要はありません。

割高の保険料を支払ってまで、一生涯、生命保険を掛ける必要があるのは限られたケースといえます。次のような場合は終身保険でなければ満たせない特別なケースといえるでしょう。

  • 特定の方法で遺産を残したい場合
  • 特別な状況で配偶者の生活費を保証したい場合
  • 遺産相続の税金対策

上記のような定期保険では満たせない特別な事情がない限り、終身保険は不要です。

終身保険の仕組み

いずれは必ず払わなければならない保険金を、保険会社はどのように捻出するのでしょう?保険会社は定期保険と比べて高い保険料を集め、それを運用して死亡保険金に当てるようにします。その運用部分をCash Value(積立金)と呼びます。つまり終身保険は、一生涯続く定期保険と、一生涯運用し続ける積立金を合わせた商品と言えます。

制限があるものの、積立金を死亡する前に現金化することもできます。保険を解約にすることにした場合、死亡保険金のために運用していた資金を、死亡保険金を受け取らない代わりに返してもらえます。また、保険は続けるものの、一時的に必要な資金としてCash Valueからローンという形で引き出すこともできます。

このような積立金に関わる特徴から、終身保険はさまざまな誤用の元となっていると言えます。終身保険が必要な状況は限られているのに、「(Cash Valueがあるので)貯金になる」あるいは「掛け捨てでは払ったお金がなくなるだけだが、終身ならお金が戻ってくる」などの理由がその例です。しかし、Cash Valueがあるから得になるわけではなく、その分、割高な保険料を払う必要があります。生命保険の目的が被保険者が死亡したときの損害を補うことを忘れてはいけません。

終身保険の種類

終身保険にはいくつかの種類があります。Whole Life Insuranceは保険料が常に一定で、払い続ける限り一生、死亡したときに保険金を受け取る事が保証されます。金利や株式市場の動向によらず、保険料が一定で保険金の額も変わらないのが特徴です。

保険料が値上がりする事なく、保険金の額も保証されているのはメリットといえますが、その代わり、他の生命保険に比べ、一番割高となっています。保険会社は払い込まれた保険料の一部をCash Valueとして貯蓄、運用します。運用がうまく行かなくても保険会社が困らないように、運用利回りを低く見積もっているので、その分、保険料が高くなるのです*2。終身保険が必要で、保険料が高い事を気にせず、絶対確実な保険が欲しい人に向いているといえます。

Universal Lifeは、Whole Lifeでは固定されている保険料と保険金が固定されていません。保険会社の運用利回りが変わったり、死亡率や寿命が変わって保険金の支払いが変動した場合、加入者の負担も変わります。また、加入者が希望すれば保険金の額を変更する事も出来ます。

十分なCash Valueがあれば、保険料の支払い金額を一時的に下げたり、まったく払わなくても(しばらくの間は)保険を保持する事が出来ます。Universal Lifeはその柔軟性から、終身保険が必要な人で、かつ保険料を気にする人に向いていると言えます。

Variable Lifeは、金融商品と生命保険を合わせた商品と思えば分かりやすいでしょう。自分が払い込んだ保険料は、一部のコストを引いて、残りは自分が選んだMutual Fundで運用されます。その運用成績次第でCash Valueが上がったり下がったりします。本来は保険会社が持つべきCash Valueの運用責任を、すべて加入者が負うことになります。

Variable Lifeは運用責任が加入者に移るにもかかわらず、Mutual Fundの経費が高く、投資として考えると非常に不利な金融商品です。わざわざVariable Lifeを選ぶことが適切な人は非常に限られると言えます*3

4. 生命保険の注意点

保険業界

保険会社はできるだけ高い商品を、つまりWhole LifeやUniversal、VariableなどのPermanent Life Insuranceを売ろうとします。保険エージェントもそちらの方がコミッションが多く手に入ります。このため、加入者のニーズとは関係なしにこれらの生命保険を勧められる事になります。しかし、終身でなければならない理由がない限り、定期保険で加入者のニーズを満たすことが出来ます。エージェントがこちらの話もろくに聞かないでPermanent Lifeを勧めた場合、要注意といえるでしょう。

貯蓄性の誤解

終身保険をエージェントが「貯蓄性がある」という表現で、あたかも得になるような言い方で売ろうとする場合があります。しかし、終身保険の貯蓄性は、純粋な貯蓄や投資に比べると経費が高いため、有利とは言えません。貯金や資産運用をしたいのなら、銀行預金やMutual Fundなど、その目的にあったものを選びましょう。生命保険はあくまで、万が一、加入者が死亡したときのためである事を忘れないようにしましょう。

保険の複雑さ

生命保険はこのページで紹介できないほど、さまざまな特約や利用形態、特典があり、非常に複雑です。特に終身保険は複雑になっています。幸い、多くの人は定期保険で十分なため、比較的簡単ないくつかの項目をしっかり理解すれば十分です。どちらを選ぶにしても、なぜその保険を選ぶのか、それぞれの特約はどんな状況で役に立つのか、しっかりと調べる必要があります。

グループ保険

会社の福利厚生の一部として生命保険に加入し、保険料は会社が負担してくれる場合があります。しかし、これだけで生命保険があると安心してはいけません。会社が加入しているグループ保険は、通常、年収と同じか、せいぜい2〜3倍程度までの保険金になっています。多くの人にとってはそれでは不十分でしょう。

自分で保険料を積み増して、グループ生命保険の保険金額を上げる事も出来ます。この場合、グループだから割安と思ってはいけません。会社が提供する生命保険は、健康診断などが不要で誰でも加入する権利があるため、保険料は割高になる傾向があります。会社が出してくれる分は加入しても構いませんが、自分で保険料を負担する場合、必ず個人で加入する場合と保険料を比べる必要があります。

さらにグループ保険では特約などを追加する事が出来ない場合がほとんどです。しかも会社を辞めてしまえば保険も解約になってしまいます。歳を取ってから転職をすると、生命保険を探すのに苦労する事になります。生命保険は自分で加入しておき、会社の生命保険はおまけ程度に考えておいた方が無難です。

限定的な生命保険

生命保険は本来、どのような理由であれ、被保険者が死亡したら残された遺族が困らないように保険金が支払われる仕組みであるべきです。ところが生命保険の中には特別な理由の場合だけ、保険金が支払われるものがあります。どのように死んだかで保険金がもらえるのか、もらえないのかが決まるようでは、意味がありません。

Accidental Death Insuranceは限定的な生命保険の一例です。事故などが原因で死亡した場合は保険金が支払われますが、病気の場合は支払われません。病気で亡くなったときのほうが、残った遺族は経済的な負担が大きくなる場合も多いので、助けになりません。同様にTravel Accident Insuranceも旅行中の事故で死亡した場合だけしか保険金が下りません。

子供の生命保険

子供に対して生命保険を掛けるように勧誘される場合があります。しかし、生命保険は被保険者が家族を養っていて、その収入(や労働)が死亡しても経済的に困ることが無い様にするための物です。子供に何らかの理由で多くの収入があり、家族がそれに頼っている状況以外では、子供に生命保険を掛ける必要はありません*4

Permanent Insuranceを「Cash Valueがあるので貯蓄になる。将来、学費のために引き出すことも可能だ」と言って売るエージェントもいるかもしれません。しかし、学費のためであれば、別の方法で貯蓄、資産運用をしたほうが効率的ですし、そもそも生命保険を貯蓄と思うのは間違いです。

*1 : QuickenとInsWebが提携しているこのページから「Term Life」を選択し、「Insurance Coverage Needs Analyzer」のページに行くと、簡単な方法で生命保険の必要金額を計算することができます。
*2 : 日本で保険会社の運用利回りが顧客に約束した利回りを下回り、逆ざやが発生しました。予定利回りが高いものは保険会社の破綻の危険もありますので注意が必要です。
*3 : 私は実際にどうしてもVariable Lifeが必要な状況が思いつきません。
*4 : 子供がタレントで高収入の場合は必要な状況もありえるでしょう。
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