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リタイアメントプラン

1. 誰に頼るのか、それが問題

なぜリタイアメントプランを考えなければいけないのでしょうか?それは、老後、仕事を辞めてもできれば楽に暮らしていきたい、と願うからだと思います。社会保障(日本でいう年金)は当てにできませんし、アメリカが高税率の超福祉国家になる確率は低いでしょうから、仕事をしないでも暮らしていけように「何か」に頼らなくてはいけません。その「何か」を考えるのがリタイアメントプランです。

「何か」を自分で用意しておけば「仕事をしなくても楽に暮らしていける状態」になり、それはFIであることに他なりません。つまり、老後*1に頼れるのは自分の資産なのです。もちろん、家族(主に子供でしょう)のサポートや政府の補助はあるでしょうが、それに頼らずに暮らしていけるのなら、そのほうが良いと思いませんか?

2. いつ始めるのか?

それではリタイアメントプランはいつ始めればいいのでしょうか?リタイアなんて先のこと、まだまだ考えなくてもいい、と思っている人はいませんか?リタイアメントプランで重要なのは時間です。ですから、プランを始めるのは今すぐ!がベストなのです。早く始めれば始めるほど、リタイアメントプランの効果が大きくなります。

時間を味方につける

詳しい説明の前に、なぜ早く始めるほうが良いか考えて見ましょう。仮に現在30歳で、計画としては60歳に定年し、その後は仕事をしないで暮らしていくと考えて見ましょう。今すぐ、リタイアメントプランを始め、毎月$300を運用したとします。これを30年間続け、平均で利回りが12%だったとしましょう(プランA)。すると、定年するときには$1,048,489の資産になっています。つまり、およそ$100万=ミリオネアということになります。

30年後の資産額の差 プランBは5年遅く始め、25年間、同じ条件で運用したとします。5年間ですから、自分が毎月、貯めたお金の差額は$18,000です。ところが、25年後に資産は$563,654にしかなりません。その差は$484,853です。たった$18,000の違いが将来これほど大きな差になるのです(図参照)。5年間の違いが30年後には倍近い資産額の差になる、それだけ時間が重要なのです。

この手の計算を示すと、「利回り12%をどうやって得るのか?」「毎月$300も運用するなんて無理だ」などなど、いろいろ疑問が出てくる人もいるかと思います。ここではあくまでも早く始めるほうが効果が大きい、ということだけ理解しておいてください。自分で色々と計算して見たい方はこのExcelシートを使ってみてください。

3. Tax Shelterの重要性

さて、リタイアメントプランを始めるとして、どのようにしたら良いでしょう。基本は自分の労働収入から将来=老後のための資金を取っておき、できれば運用して増やして、収入がなくなったときにそれを使う、というパターンになります。この目的のために Qualified Retirement Plans が各種あります。401(k)は会社勤めの人が会社がサポートしていれば拠出できるプラン、IRAは一定条件で個人が拠出するプラン、SEP-IRAは自営業の人向け、などなど。どのプランであっても、基本的な性質は変わらず、次のようなものになります。

  • Tax Deferred(税金の先延ばし)
  • Tax Exempt(利回りに対して非課税)
  • 拠出、引出しの制限
  • 労働収入の条件

Tax Deferred

Tax Deferred(税金の先延ばし)というのは、今、収入に掛かる所得税を払わずに、将来払うことにする、という意味です。例えば、今年$3000、401(k)に拠出したとします。年収などの制限を満たしていれば、この$3000は収入が無かったとみなしてくれ(=控除できる)、その分、所得税が低くなります。税率が28%の人は、$840分の税金が減額されます。定年後、プランからお金を引き出したときに、そのときの所得に応じた税率で所得税が課税されます。仮に定年後は労働収入がなくなるので、総所得が減って、Tax Bracketが15%になっていたとすると、この$3000を引き出したときには、$450しか税金が掛かりません。

このTax Deferredという考え方には賛否両論があります。税金を先延ばしにする事によって、働き盛りで収入が多いときに、高い税率で収めずに済み、得だ、という意見があります。一方、老後に収入が減るとは限らない、逆に税率が分かっている今、税金を払って引き出すときは非課税のほうがいいという考えもあります。また、「老後は労働収入が減るから、税率も下がる。だから先延ばしのほうがいい」というのは「老後に貧乏になるためのプランだ」という人もいます*2。Tax Deferredだけを見ると、どちらも一理あり、結局、老後になってみないと分からないことになってしまいます。

このTax Deferredが嫌な場合、つまり今のうちに税金を払っておき、引き出すときは非課税にしたい場合にはRoth IRAという選択肢があります。Tax Deferredというのはリタイアメントプランの性質のひとつに過ぎないので、自分の好みに応じて、Tax Deferredなプラン、もしくはTax Deferredでないが、他の性質は保っているQualified Planのいずれかを選べば良いでしょう*3

Tax Exempt(利回りに対して非課税)

リタイアメントプランで一番重要なのはTax Exemptであること、だと思います。どのプランであってもこの性質は変わりません。普通に運用した場合、例えばMutual Fundを普通に購入した場合は、利回りに対して課税されます。ところが、リタイアメントプランで条件を満たしながら拠出した資金の場合、利回りに対して非課税になります。

Tax Exemptであることがどれくらい重要か、例を使って考えて見ましょう。先ほどの例と同じく、毎月$300を30年間、12%の利回りで運用したとします。もし、利回りに対して非課税で、かつすべての利回りを再投資し続けた場合は、先の計算のとおり、30年後、$1,048,489になります。もし、これがTax Shelterでない、普通の投資だったとしたら、どうなるでしょう?Grossの利回りは同じでも、税金がかかった分、再投資にまわす資金が減ります。計算を簡単にするため、利回りに対する税率は20%だとしましょう。この場合、実質利回りは12%*(1−0.2)=9.6%となります。すると30年後に手元にある資金は$622,923に減ってしまいます。その差は何と$425,565にもなります。

Tax Shelterの効果

図を見ると分かるとおり*4、課税/非課税の差は、運用資金が大きくなればなるほど開いていきます。リタイアメントプランを始めた当初はたいした差でなくても、何年も続けることによって差が開いていくのです。では、最初のうちはリタイアメントプランでなくても差が開かないのですから、差が開き始めたら、つまりお金が貯まってきたら非課税のプランに移行すれば良いのではないでしょうか?残念ながらこの方法は使えません。次に述べる、拠出の制限があるからです。

4. リタイアメントプランの制限

リタイアメントプランにはさまざまな制限があります。リタイアメントプランの基本になるコンセプトは、定年後の資金として個人で準備するのを政府が税制で優遇してあげる、というものです。税制で優遇してあげる代わりに、当然、それなりの制限があります。この制限をよく理解して、うまくプランを使いましょう。

拠出、引出しの制限

リタイアメントプランに拠出できる金額はプランによって上限があり、401(k)は年間$15,500、IRAは年間$4,000(いずれも2007年の場合)などと決まっています。この上限という意味は、それ以上拠出しても税金控除の対象にならない場合と、それ以上拠出するとペナルティが課せられる場合の二通りがあります。この上限は年収*5により、減額される場合もあります。上限はインフレに応じて毎年、調整されますので、自分のプランの上限を確認し、それを超えないように、しかしできるだけ多く運用にまわす注意が必要です。

リタイアメントプランはお金を引き出すのにも制限があります。基本的には59.5歳までに引き出すとペナルティが課せられる、と理解してください。ペナルティは通常、引き出す額の10%、さらにTax Deferredの項目で説明したとおり、引き出す年の税率で所得税がかかります(Roth IRAは除く)。リタイアメントプランは定年後のためにお金を運用するためにあるのですから、それ以外の目的で早く引き出せないようになっているのです。

引き出すことに制限があるのを嫌う人もいるでしょう。しかし、これを制限と捉えずにForced Saving/Investing(強制的な貯金/投資)と捉えることをお勧めします。どういう事かと言うと、引き出しに制限があるのですから、一度、お金をプランに入れてしまえば、よっぽどのことがない限り、引き出さなくてすむように努力するようになる、ということです。急にお金が必要になっても、何とかほかのところでやりくりして、老後の資金には手をつけない、そういうDiscipline(自制)を保つのに適した運用方法なのです。

労働収入の条件

リタイアメントプランに拠出するためにはEarned Income(=労働収入)が必要です。もし、収入があってもそれが不労収入だけの場合は、プランに拠出することはできません。つまり、働いてない人はプランに拠出することができない、ということです。ただし、例えばIRAであれば、拠出額の上限は2007年の場合、$4,000ですから、年収が$4,000以上あれば、拠出額いっぱいまで利用することが可能です。

学生でも、アルバイト働いたお金を拠出すれば、将来が大変楽になります。大学に18歳から22歳まで通い、4年間の間に毎年$4,000拠出し、その後何もしなかったとしても、60歳になるときには何と$1,418,116にもなっています*6。この計算に興味がある方はこのExcelシートをご覧ください。

この労働収入の条件には例外があります。これはとても大切な例外ですので、該当する人はぜひ注意して置いてください。夫婦のうち、一人だけが働いていて、もう一人は働いていない場合(Non-working spouse)、働いてないほうの配偶者は年収がなくてもIRAに拠出できる、というものです。リタイアメントプランは常に個人名義になります。夫婦共同名義にはできません。401(k)など、共働きであればそれぞれが加入できますが、一人しか働いていない場合、それが働いている配偶者だけの名義になるのはどうかと思います。Non-working spouseもIRAを持つことで、二人で共同で将来の準備をしていることになりますし、夫婦二人分の合計の拠出額の上限も増えます。

*1 : 必ずしも老後でなくても構いません。FIになったら何歳でも、仕事に頼らなくて良くなるのですから。
*2 : "Plan to be poor" Robert Kiyosaki
*3 : 条件さえ合えば、両方同時に拠出する事もできます。
*4 : この計算のExcelシートはこちら
*5 : 正確にはModified Adjusted Gross Income(MAGI)
*6 : 年率12%で運用した場合。これで老後は安泰だと思ってはいけません。インフレがあるので、将来の$1,418,116は現在の価値で言えばはるかに低くなります。それでも、まとまった金額があれば「大学のとき、バイト代を無駄に使わなくて良かった」と思えるようになるでしょう(^^)
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