2008年までご愛顧いただいた「目指せFI」ウェブサイトは2009年、「FI Planning」として全面リニューアルいたしました。

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FIへの道

1. 「Rich」には2種類ある!

アメリカで本屋に行くとタイトルや帯に Rich や Wealth と書いてある本がこれでもか、というほどあります。TVではPBSなどの教育的なものから怪しげなインフォマーシャルまで「Richになるには」「Wealthlyになるには」といった内容の番組がいくつもあります。アメリカでは「Rich」と言う言葉がこれほど氾濫しているのです。

そのため、同じ「Rich」がいろいろな意味で使われます。あなたは「Rich」あるいは「お金持ち」という言葉を聞いて、どんな事をイメージしますか?「大きな家」「輸入高級車」「お金遣いが荒い」「ずるい」「金持ちから税金を取るべき」などなど。もしかしたら、こういったイメージが「Rich」だとすると、本のタイトルなどに使われている「Rich」とは程遠いものになります。

タイプ1のRich

本のタイトルなどでよく使われる意味の「Rich」は多くの場合、タイプ1のRichの意味です。この場合、Richは「お金の管理がしっかりできる」「将来のためにしっかりした資産計画を立てている」といった程度の意味です。悪性の借金*1 がなく、毎月きちんと貯金をする。無駄な贅沢はしてないけど、必要なものを買えるお金を管理できている。子供の学資や住宅購入資金の計画がある。このようにDiscipline(自制)を保つ事が出来る状態の事です。 例えば FI文庫 のページでも紹介している Ordinary People, Extraordinary Wealth はタイプ1のRichになることを目指しています。

アメリカは日本以上に「物質編中主義」があるのか、所得に対する貯蓄の割合は低く、逆に借金(主にクレジットカード)の割合が高くなっています。そのため、そういった文化に慣れてしまって給料で稼いだ分以上に使ってしまうと、将来の生活は悲惨なものになってしまいます。また、社会保障*2の役割が低下し、企業年金も減り、代わりに401(k)をはじめとする確定拠出型年金(=自分の責任で積み立てる年金)の比重が高くなっています。自分でしっかりお金の管理をしておかないと、定年後の収入はほとんどなくなります。つまり、自分で自分の将来の収入を確保する必要があります。そこで、「Richになりましょう」というタイトルをつけて、将来のための準備方法を教える本が多いのです。前述した「大きい家」や「高級車」のためではなく、自分のためにしっかりお金を貯める事をRichと呼んでいるのです。

FIを目指す人は、このタイプ1のRichになる事は必須です。誰にも頼らず、自分が準備したもの(資産、投資、貯金)で生きていける状態になるには、お金の管理や資金計画などができないといけません。こういった本などで説明している 401(k)、IRA、住宅購入、教育資金、Mutual Fund、株、債券、保険などは必須科目といっていいでしょう。

タイプ2のRich

それに対してタイプ2のRichは純粋に資産が多い状態を指しています。この場合の資産は通常、Cash Flow(=不労所得)を生むものをさします。不動産投資、ネットワークマーケティング、個人広告ビジネスなど、一旦軌道に乗ってしまえば、あとは Cash が何もしなくても入ってくると言うことです。

このタイプ2のRichは、「あやしい」と思われるものから本当に良いビジネスまでさまざまです。しかし、どういう方法であれ、本当に不労所得があり、それが生活費を大きく上回るのなら、タイプ2のRichと言えるでしょう。FI1+はまさにこの状態です。できればタイプ2のRichを目指したいものです。

ところが、このタイプ2のRichになるための方法を売り物にしている本や教育番組、インフォマーシャルには、誤解を生む表現で書かれていたり番組が作られている場合があります。「Get Rich Quick」「No Hassle」「You can be rich just by doing ○○○」などと言った宣伝文句で誘っています。Richになるための方法そのものは間違っていなくても、宣伝方法が「あやしげ」なのが多いのです。

タイプ2のRichになる方法は、簡単に言ってしまえば次のようなものです*3

  • 他の人が知らないビジネスチャンスを見つけ、それを形にする
  • 不労所得になる資産をできるだけ少ない投資で取得する
  • ここで資産とは有形、無形を問わない
そんなの言うのは簡単だけど、実現するのは難しいじゃないか、と思った人、正解です!あたかも簡単にできるように宣伝しているこの手の「Get Rich Quick」な方法は、一見簡単に見えて、それを遂行するのはなかなか一筋縄では行かないのです。

だからといってこれらの方法がすべて間違っている訳ではありません。宣伝方法が間違っているだけです。いくら方法が良くても、正しいやり方で努力し、実行しつづける忍耐力が必要なのですが、そういったことを宣伝では言っていません。ですから、「方法」と「宣伝」を間違えずに、「方法」だけを正しく理解すれば怪しくも何ともない場合が多くあります。

偽Rich

第3のタイプとして上げられるのが「偽(にせ)Rich」です。偽RichはRichそうに見えて実は将来のための備えやCash Flow を生み出す資産を持っていない人です。中流階級が給与所得(=勤労所得)に頼って物(家や高級車など)を買い、Richのように振舞うのですが、給与がなくなってしまえばその生活を維持する事ができないパターンです。もちろん、慎ましく生活していても給与所得がなくなれば私だって苦しいのですが、無理をしていなければいざと言うとき「生き延びる」ことができます。

偽RichはFIレベルでいえば0か場合によってはマイナスの事さえあります。給与の絶対額で考えずに、同じ生活レベルを給与がなくなってどのくらい続けられるか、で考えるといいでしょう。タイプ1や2のRichは勤労所得がなくなっても長期間に渡り、同じ生活レベルを保つ事ができます。偽Richは仕事無しでは1年以下、場合によっては数ヶ月しか同じ生活レベルを維持できません。

「Rich」の種類
種類特徴
タイプ1
  • お金の管理がしっかりできる
  • 将来の備えを貯えている/投資している
  • 悪性の借金がない
  • 子供の学費を得る方法を考えている
  • 無駄な贅沢はしないが生活を豊かにするために使うお金はある
タイプ2
  • 生活費以上に不労所得がある
  • 贅沢をするのに給与を使わなくてもいい
  • 不労所得を得るために借金をうまく使っている(Leverage)
  • 自分でビジネスを行っている
  • お金がさらにお金を生む好循環になっている
偽Rich
  • 物をたくさん持っている(見た目はお金持ちのように振舞っている)
  • 給与所得は中産階級の上か、それ以上にある
  • 収入以上に出費がある
  • 貯金、投資に回すお金がない
  • 将来の備えがない

2. FIとRich

FIになることとRichになることは同じでしょうか?Richは上記の通り、3種類ありますが、少なくともFIは偽Richとは明らかに違います。偽Richは消費することに意識がいってますが、FIは収入と支出のバランスに注目します。いくら収入があってもそれが勤労所得で、どんどん支出していっては、収入が途切れたら同じ生活を維持できないからです。

FIとタイプ1のRich

FIは、多くのファイナンス関係の著者が説いているタイプ1のRichに非常に近いものです。どちらの場合も、収入、特に不労所得と出費がバランスしていて、いつまでも生活レベルを維持できる状態です。Cash Flow の観点から見ればほぼ同じことです。ただし、私が描くFIのイメージと、タイプ1のRichは微妙に違う部分もあります。

まず、FIになるのは何も老後でなくとも良いことがあげられます。確かに401(k)などで老後資金を貯める事は大切ですが、それは最低限しなければいけないことです。FIは仕事を辞めてリタイアしてからのための物ではなく、出来るだけ早く実現することに目標を置きます。

また、タイプ1のRichは「あなたの年収は関係ない。どれだけ明日に回して運用するかが重要である」と説く場合が多くあります。しかし、年収を増やすことはFIへの一番の近道でもあります。問題は、収入が上がると支出も増えるからで、支出を抑えて、かつ収入も増やせれば、こんなに良いことはありません。タイプ1のRichを目指す書籍の多くが、(主に老後のための)守りを固めるものであって、攻め=収入を増やす方法に言及しているものはそれほど多くはありません。もちろん、その書籍の目的そのものが守りを固める方法の解説ですからそれでも構わないのですが、「Rich」「Wealth」という言葉を付けてる割には、私のような凡人が描く「Rich」への道は示してくれません。

FIとタイプ2のRich

それではタイプ2のRichはFIと同じことでしょうか?同じであるとも言えるし、そうでないとも言えます。もし、本当にタイプ2のRichになっているのなら、それはまさしくFIです。生活費以上の不労所得があり、それを正しく使い、管理している状態だからです。違いとしては、FIは自分が満足する生活を続けることができれば、収入の絶対額は多くても少なくても構わないことが上げられます。 生活の満足度に意味があって、絶対額の多さを求めているわけではありません。

FIは自分が自由にやりたいことがやれるようにするためのツールであって、目的ではありません。タイプ2のRichの書籍、インフォマーシャルは「(タイプ2の)Richになりたい」という目標を掲げることはあっても、なぜそうなりたいのかという目的は示してくれません。もちろん、そういう書籍は目的探しを助けるための本ではないので当たり前ですが、FIを目指す身としては、タイプ2のRichになった、その先のことまで考えていきたいものです。

*1 : 悪性の借金とは、クレジットカードの未払い額など利息が雪だるま式に増えるもの。あるいは「価値が年々下がっていく物の借金」です。住宅ローンは正しく使えば「良性」の借金です。
*2 : 日本の国民年金に相当
*3 : The Millionaire Next Doorを参考にしました。
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